V6 14thアルバムSTEP感想 これが最後のオリジナルアルバムということがまだ信じられない
どうも。バンギャル(ヴィジュアル系バンドのファン)だったはずが、女子アイドルとかV6のファンとかも始めてしまって、時間とお金のやりくりに四苦八苦しているフミヅキです。
2021年11月1日での解散が決まったV6が、14枚目にして最後のオリジナルアルバム「STEP」をリリースしました。
いつもの私だったら速攻で聞くのですが、なんか……なんですかね、まだ最後だということを受け入れられないせいか、CDは発売日からちょっと時間を置いてから聞きました。
通して聞いてみると、まさにV6の最新バージョン!という感じがしました。
V6は今までシングルやアルバムで次々に「新しいカッコよさ」を提示し続けてきたと思うんですけど、その1番新しい形を見せてくれたアルバムだなと感じました。
でもな~、STEPを聴いていると、なんだかまだまだ次の作品、そのまた次の作品、新しいカッコよさ、最新のV6って続いていくんじゃないのかな~って思えてしまった。
実際にこの後ベストアルバムが出るし、そこには未収録曲も収録されるので最後ではないことは確かなのですが……。ただ、6人それぞれの歩みはこれからも続いていくので、次に続いていくっていう印象はその通りなのかもです。
(と少し無理やり納得したところで)今回のアルバムも素敵な曲ばかりだったので、各曲について感想を書いていきたいと思います!
1. 雨
MVで事前に公開されていて、その時点でものすごい作品だということはわかっていました。
かなりダウナーなテンションで始まる1曲目。前作の「The ONES」でもダウナーな曲がスパイスとなっていましたが、この曲はさらに振り切った印象があります。
ジャニーズのアイドルに
死ぬだけ 今だけ幸せ
死ぬまで 今だけ幸せ
って歌わせるの凄まじいですよね。そして違和感なくそれを表現してしまっているV6も凄まじいなと思いました。
「雨」という言葉が何度も何度も繰り返され、ともすれば単調となってしまうかもしれないのに、深い曲の世界の中に引きずり込まれる感覚があります。暗い曲だけど柔らかい感触があって心惹かれます。昏い水の中をゆっくり漂う感じというか、優しい絶望に触れている感じというか。
サウンドや歌声に湿度があって、聴いていると本当に雨の中にいるみたいな気持ちになる曲です。
2. blue
ダンサブルで爽快感も感じるサウンドなのですが、ポップに弾ける感じではなくて少し抑えめのテンションなところがいいな~と感じました。私はこの曲に「大人なV6だからこそのアイドルソング」というイメージを持っています。
実際、歌詞を見ると、未来を信じたり、空に飛び立ったりな感じの割とストレートにアイドルらしいテーマを持った曲だと思うんです。
歌詞に出てくるバタフライエフェクトというのは過去改変系のSFの物語とかで時々使われる言葉ですが、蝶のはばたきみたいな極々小さな動きでさえ、巡り巡って世界に大きな変化をもたらすという意味合いの言葉ですよね。君と僕とで世界に向かって行くことが出来ると、ポジティブに背中を押すV6らしいテーマの曲なのではないかと思います。
3. Best Choice
ジャズのビッグバンド的な曲?なんですかね??
お洒落な楽曲で、音に乗っかって体を揺らすのが楽しい曲。途中の健くんのラップもいいですよね~! 過去の曲だとSwing! とかの楽しさを思い出しました。
色々な楽器がパートごとに入れ代わり立ち代わり鳴らされ弾かれ叩かれ、細かく楽器の音を追いかけるのも楽しいです。どこも隙なくカッコいいサウンドという感じがします。
(クレジットにギター・プログラミングってあるからギターとかは打ち込みなのかな?)
4. Sweet Days
ゴスペル的なコーラスで始まるのが素敵ですね。
そこから始まる、ちょっと懐かしい雰囲気のサウンドは今流行りの(というか再評価されているというべき?)シティポップというジャンルの音楽なんですかね? 何かこう洗練された都会っぽい感じ、東京の中でもいい所育ちの人たちが作っていそうな音楽(というのは私の勝手な思い込みな気もするけど……)
バンギャルな私はこういうジャンルの曲はV6経由でなければ絶対に聴かなかったと思うので、聴いていて新鮮な気持ちになりました。
5. トビラ
V6に「僕らはまだ」を提供された岩崎慧さんによる提供曲。「僕らはまだ」が解散を控えたV6にあまりにもぴったりで(たぶん解散を知って作られた曲ではないはずなのに)びっくりしました。歌詞もメロディーも完璧にフィットしてる!って感じました。
この「トビラ」も「僕らはまだ」の感触を思い出させるような、優しくて暖かい曲です。「いい曲」って言うしかないんだけど、あまり語らなくても皆がいい曲だと感じる曲なんじゃないかと思っています。
V6を通して、様々なアーティストの作り出した素敵な音楽に触れられるのは幸せなことです。
6. 素敵な夜
NHKの「みんなのうた」に採用された曲なのですが、オンエアを見てちょっとびっくりしました。お洒落で大人なサウンドというのは、子供騙しではない「みんなのうた」としては結構あるんだろうなとは思ったのですが、歌詞が……大丈夫?と思ってしまったのです(笑)
声をかけられたけど相手に見覚えがない、笑ってやりすごす、みたいなのは、あるあるネタ系の曲としてありなのかな~と思ったのですが、
「素敵な夜でしたね」って言われても
心当たりはあるけれど
君が誰だかわからない
という部分でちょっとギョッとしてしまったのでした。ワンナイトラブの相手ってこと……?一夜を過ごした相手に心当たりはあるけれどってこと……?と考えてしまった私はきっと心が汚れているか、Supernovaを聞きすぎているのでしょう。(冷静に考えれば飲み会か何かだよね)
でも、3番に出てくる友達の新しいガールフレンドはガチでヤバい子だと思うよ……と思ったりもしました(笑)
無邪気なお洒落サウンドに乗っかりながら、歌詞で色々想像が広がる面白い曲です。
7. 分からないだらけ
この曲! このアルバムで一番か二番に好きな曲かも!!
私の中で「Plastic Treeにカバーしてみてほし~!」と思う枠の曲です。
いきなり意味不明な言い方で申し訳ないです……。Plastic Treeというのは私がバンギャルになるキッカケとなったヴィジュアル系バンドで、白昼夢的な・センシティブな・寂しい雰囲気でふわ~っと浮遊感のある楽曲が私の心を捉えたバンドでした。
V6の中だと、OrangeとかHELLOとかonly dreamingとかがPlastic Treeにカバーしてみてほしい枠、つまり私が好きな傾向の一つなわけです。(これ以外にも好きな傾向があります)
イントロや間奏、Aメロとかも頭がふわ~っと溶けるような、ふらついちゃうような感覚があって魅力的です。
V6の歌い方もすごい! ずっと幻覚みたいなふんわりとした歌声をしていて、リスナーを幻惑してくるのです。
サビがちょっと椎名林檎さん的なお洒落なメロディー(という書き方で伝わるだろうか)になるのも、フックがある感じでいいな~と感じました。
あとベースがすごいですね。「お別れさワンダーランド~」のところのベースどうなってるんですか。めちゃくちゃだけどめちゃくちゃにならん。すごい。
幻惑されるような曲で、聴いていて抜け出せねぇ~となります。
8. Let Me
この曲もいいですよね~!
どことなく寂しい感じが曲の根幹にあるんですけど、同時に優しい光がリスナーを照らしてくれているような印象を受けるのです。
あと、歌詞の音への乗せ方があんまり邦楽っぽくないな~、ラップまでいかないけど喋るように歌う部分があったり、サウンド自体もちょっと洋楽寄り?と思ったら、Def TechのMicroさんが提供した曲だったんですね。
Microさんは以前にもV6に歌詞を提供してくださったことがあったんですけど、いずれも海外の方が作った洋楽の香りが強いトラックへの歌詞提供だったんですよ。それがめちゃくちゃ良いバランスで! 日本的なメロディーの歌詞の付け方とは違う感じがあって、カッコいい!すげー!と思っていました。
今回は楽曲を含めての提供でしたが、やはり洋楽のフレイバーが漂うカッコいいバランスで、やっぱりすげー!と思いました。
9. 家族
初回A・B盤ではラストとなる曲ですね。1曲目と同じ千葉雄喜(KOHH)さんによる提供曲です。こちらも間違いなく名曲です。
雨と同様、水の中を漂うような印象のサウンドだし、どちらかというとダウナーなテンションの曲ですが、雨よりも暖かく、希望のある音だと感じます。
まだ雑誌のインタビュー等を読み切っていないため、千葉さんがどういった意図でこの曲を作ったのかは私は知らないのですが、もしかしたらV6をイメージして作られた曲なのかもしれません。「家族」という言葉が繰り返され、「血のつながり関係なく」「お互い守る」といった言葉が見られるので。
ただ、そうなると、私とはV6について解釈違いということになるんですよね……。(ここからファンとしての面倒くさいお気持ちになります、すみません)
V6のメンバーさん自身も「V6は家族とも友達とも違う関係」ということは発言されていて、私としてはV6の関係性は「家族」ではなく、「普通だったら出会うことのなかった6人が出会い、築き上げた関係性は遠さと近さを同時に保っていて、それを保てたことが26年続けてこられた所以で、その繋がりはV6という言葉以外では表現できない独特な関係」という認識なのです。
なので、私としては、この曲はV6がV6自身のことを歌っているのではなく、あくまで千葉さんの提供された「家族」という名曲をV6が素晴らしい表現力で歌っているという認識なのです。面倒臭くてすみません。
(ということを書きつつ、坂本くがパパ、長野くんがママ、井ノ原くん長男、いたずらっ子カミセン兄弟というイメージも愛しているし、楽しんでいるので、ダブルスタンダードであることは重々承知しております、すみません)
それに、あくまで「家族」というのはV6の関係性の比喩、ブラザーフッド的な関係性の表現ということなのかもですよね。あとでインタビューとかをちゃんと読んだら考えが変わるかもです(笑)
そして私は剛担なんですけど、剛くんがしっかり家庭を築いているらしいことを見聞きするたび、素敵だな~としみじみ思っているので、「俺たち家族」「お互い守る」「血のつながり関係なく」と剛くんが歌っているをめちゃくちゃエモく感じてしまいました。ちょっと穿った聞き方なのかもしれませんが、なんだか胸に来るものがありました。
個人的には「分からないだらけ」「Let Me」「家族」の流れが堪らないです。寂しい・孤独な感じとほんのり暖かい優しい感じが同居する感触というのか。
通常盤には続いて、Coming CenturyのHigh Hope、20th Centuryのグッドラックベイビーが収録されています。
カミセン曲は昔だったらトニセンが歌っていたかもしれないような大人っぽい曲ですね。落ち着いたダンスナンバーで、ライブでやるとしたらどんなステージになるのか楽しみな感じです。
トニセン曲は明るい光を感じる曲です。森山直太朗さん提供で、優しく楽しい雰囲気がトニセンらしくて聞いているとニコニコしちゃいます。曲開始前にちょっとお喋りしてる様子が収録されているのも可愛いです。
ところで、通常盤は税込み3300円でA4サイズのしっかりした装丁の写真集が付いてきたんですけど、avexさん、これちゃんと利益が出ているんでしょうか……?
初回A・Bの特典映像もすごく楽しかったです!
特に初回Bはいつものスタッフさんが担当した企画で、今回はドライブ⇒ゴルフという贅沢映像! 発売前にYou Tubeにお試し映像が上がったと思ったら25分くらいの長さあって、え?じゃあリリース版はどれだけボリュームあるの?と思ったら、普通にバラエティー特番くらい満足感のある映像でした。こっちも原価大丈夫なのか……?
ちょっと話は飛びますが、アイドルだからこそ色々なジャンルの音楽を表現できるというのもありますよね。
私がヴィジュアル系を好きなのも、ヴィジュアル系というのは音楽のジャンルを示す言葉ではなく、外見と音の両方で表現する様式を示すもので、音楽はそれぞれのバンドが自由に色々なジャンルから持ち込んで、独自の色を付けて表現しているというところがあると思うんです(もちろん界隈での流行り廃りの音楽ジャンルというものもあるんですが)
同じようにアイドルも、様々なジャンルのアーティストから提供を受けて、色々な表現をすることができ、それはジャンルの壁を越えた自由な表現が出来ていると言えるのではないでしょうか。
(アイドルらしい曲というものもありますが、逆を言えばそれはアイドルにしか表現できないキラキラした世界を描くもので、アイドルが歌うからこそそういう楽曲の世界を信じることが出来るんだろうと思います)
アイドルもヴィジュアル系も他より制限のあるジャンルでありつつ、ある部分では他ジャンルより自由な部分もあって、面白いな~と思っています。
そんな感じで、好き勝手に感想を書いてみました。あくまで私個人の感想なのでお許しください (>_<)
V6はこのアルバム発売と同時に、全国をコンサートツアーを回っています。どんなステージなのか楽しみです。twitterで各地のMCの様子を見るのも楽しいですね!
11/1のコンサートは配信もされるので、寂しいような楽しみのような気持ちで待っていたいと思います。