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THE STARRY RIFT

ヴィジュアル系バンドや女性・男性アイドルについて気ままに駄弁るブログです。

映画「ヒメアノ~ル」を見てきました。精神的にぐったりしたけど、見てよかったです。

森田剛単独初主演映画「ヒメアノ~ル」を見てきました。素晴らしかったです。色々書きたいけど、まだまだ公開中でネタバレもしたくないので、関係ないことも含めてつらつらと、内容にはあまり触れずに感じたことをとりとめもなく書いていこうと思います。

 

途中まではものすごくニヤニヤして見ていました。岡田とユカの恋愛が可愛くて。ユカ役の佐津川さん、天然系であざとくて可愛いくてちょっと小悪魔っぽいところが最高! 少し情けない男である岡田役の濱田岳さんも可愛いらしかったです。

そんな中で、だんだんと森田による不穏な空気が増していきます。それでも、コメディー的な要素が途中まで結構あったからニコニコ見ていました。

でも、ついに不穏な空気とコメディーの空気が強制的にシンクロされていく。その後はスクリーンがどんどん汚い灰色と血の色で隙間もないくらいに塗りつぶされていく展開。

映画を見終わった後、私はしばらく席から立ちあがる気力が起きませんでした。

別にエログロがきつかったからというわけではないです。私は結構そういうのは好きな方ですし。

映画の後、悲しみとか、やるせなさとか、哀れみとか、共感とか、いろいろな感情が自分の中に渦巻いていました。それでぐったりして、四肢の力が抜けてしまった感じ。

共感か。誰への共感だろう。森田か。そうだな。森田だな。私は森田にちょっと共感してしまいました。雑誌のインタビューで剛くんが森田の行為を「自傷行為」と評したものがあったのですが、それがとても腑に落ちた感覚もありました。過去が森田の神経を衝動に駆り立てて、衝動が無計画な暴力として吐き出される。それはただの許しがたい犯罪行為なのだけれども、確かに、自傷行為のような臭いを感じました。

どんどん安定(心も生活基盤も)を失って、それなのに、あるいは、それゆえに行動が無軌道に行き当たりばったりになっていく森田の姿がとても痛々しく、悲しく、私は心が締め付けられるような思いがしました。善悪の判断も深い思慮もなく(あるいはそれらの判断をすることを諦めて)暴力を撒き散らしてしまう姿と、その背景を示唆する映像を見て、悲しいなあと思いました。

でも、映画は胸糞悪い感じではなかったです。ラストはじんわりと、もの悲しいけど少しだけ暖かい、そんな感じなのかな。見てよかったなと思える映画になっていました。

 

 

「ヒメアノ~ル」の森田ほどじゃなくても、おかしな行動をおかしな行動として自己認識できずに実行してしまう人は現実にもいることでしょう。映画からの帰り道に思い出したのが、ちょっと前に読んだ”姫乃たま”さんという地下アイドルの方が書かれた記事でした。この方はご自身も地下アイドルとして活動しながらライターもされていて、地下アイドルについての記事も書かれています。

 

otapol.jp

 

この記事によると、姫乃さんはとあるファンイベントで少し様子のおかしい方と遭遇し、最初は和やかに対応していたものの、許容できない行動をとられたために「お引き取りください」と言わざるを得ない状況になったそうです。引用します。

 

 彼はいつも、いろんなテレビ局の名前を書いた紙の切れ端を握っている。文字は隙間なくびっしりと書かれていて、大きな声でそれを音読しながら歩く彼を、人々は見えないふりをして遠ざけながら通りすがっていく。

 彼はファンの人と話している私を見つけると、ずいずいと音読しながらこちらへ近づいてきた。そして並ぶということをせずに、私とファンの人の間に割り込み、「サインお願いします!」と大きな声で言った。ものすごい至近距離に、私よりもファンの人が呆然としている。事務所に所属しているアイドルなら、間違いなくスタッフが引き剥がしている状況だ。

(中略)

 彼は私にぐいっと近づき、後ずさった私に小さな声で、「たまちゃんのおっぱい吸ってもいいですか?」と言った。私は後頭部が冷たくなるのを感じて、咄嗟に、「お引き取りください」と言い返した。7年間地下アイドルをやっていて、ここまで冷たく人に接したのは初めてのことだった。自分が悲しかった。

(中略)

 私に「お引き取りください」と言われた彼は、その後も何もなかったかのように、テレビ局の名前を音読しながらイベント会場の人混みを歩いていた。道行く人たちは、見えないふりをして遠ざけたり、通りすがったりしている。

 隣にいたイベントスタッフがその様子を見て、「カオナシだ」と言った。

 

あの日、戸惑ってしまったファンの好意への対応…「私が地下アイドル業界から肯定されたように、私もファンの人を肯定したい」|おたぽる

 

この彼にはこの彼の物語があるのでしょうか。

映画を見たり、記事を読んだりすると、絶望や逸脱は意外とすぐ傍にあるのかもしれないと思えてきます。ちょっとしたきかっけで自分が巻き込まれることも、自分自身がそういうマインドに至ってしまうこともあるのかもしれません。人生って難しいし、怖いなって思う。姫乃さんが記事の最初で小金井市の女性の傷害事件に触れているのも示唆的だなと思います。

 

また、今回の映画ではスクールカースト的な問題もテーマに含まれていましたが、近くの人間同士で優劣をはかってカーストを作っているのは学生だけではないでしょう。社会に出れば大人の世界のカーストがあって、なんかもう疲れちゃうなあって時もあります。大人になればちょっとは選択肢も増えるから、そこから逃げていく人もいるし、そのまま潰れちゃう人もいるし、開き直って居座る(居直る)人もいる。「カオナシ」みたいになっちゃう人もいるのかも。人生いろいろなんだろうな、やっぱり……。

 

あ~、なんか考えがまとまらない。でも、「ヒメアノ~ル」は、こういう風にいろいろなことを頭の中に浮かび上がらせる映画なのだと思います。エログロ系に免疫のある方には是非見てほしい映画だなと思いました。「ヒメアノ~ル」は最初から最後まで全力疾走で暴力(ニアリーイコールとしての人生のままならなさとか悲しさ)を描ききった映画だと思います。面白かったです。

 

 

 

あ、そういえば、一つ前の記事( V6・森田剛というアイドルについて - THE STARRY RIFT )でかなりミーハーに剛くんについて書いたのですが、今回の記事ではそういうのはなしにします。というのも、スクリーンの中には森田剛じゃなくて、森田正一しか映っていませんでしたので。