THE STARRY RIFT

ヴィジュアル系バンドや女性・男性アイドルについて気ままに駄弁るブログです。

森田剛くん主演舞台「空ばかり見ていた」個人的考察(ネタばれ含む)

どうも。バンギャル*1だったはずが、いつの間にか女子アイドルとかV6とかまで追いかけ始めてしまい、お金と時間のやりくりがヤバいフミヅキです。ちなみにV6全員大好きな剛担です。

 

さて、先日、森田剛くんの主演舞台「空ばかり見ていた」を観劇して参りました。今回は舞台についての個人的な考察と感想をとりとめもなく書いていこうと思います。たぶん、私にはこの作品についてとりとめなくしか書けない気がします。

というのも、この作品には根幹となるストーリーはありつつも、「人間の記憶の曖昧さとそこに入り込みうる欺瞞・つじつま合わせ」のようなものが一つ大きなファクターとしてあると感じるからです。真実とフェイクが隣り合い、時系列も一部入れ替わって表現されているため、見る人にごとに心に感じる「この作品のストーリー・主題」は少しずつ違っているんじゃないかな、と思ったので。

(そして、剛くんの出る舞台ってそういう曖昧さが魅力であることが多い気もする……)

そんな感じで、私の感じたストーリーを【ネタバレ有り】(ただし、作者の考えやあなたの感じたストーリーとは違うかもしれない)で書いていきますので、まだネタバレされたくない方はブラウザバックをお願い致します。

 

【観劇当日の私の感想】

ちなみに、夜に行ったのは校庭カメラガールドライという女子アイドルグループのライブです。メンバーのたらちゃんが出演する最後のライブでした。ファンクラブ申し込み時、昼の公演に申し込んだ私、ナイス!!

 

【ストーリーや構成について考えたこと】

まず冒頭、暗い廃校で剛くん演じる「多岐川秋生」と「田中さん」という女性の会話場面から始まります。真っ暗な外、電気が点かなくて蝋燭の明りの下であること、秋生の「山道を歩いてきたのに疲れていない」という発言、どこか噛み合わない会話から、この人達何かおかしくないか?と思わされます。

そして、田中さんがいなくなった後に現れた兵士と秋生の会話で「田中さんは死んでいるらしい」ことがわかるのです。あれ? じゃあ、もしかしてこの人達って全員死んでる……? そう思った直後、舞台は時系列としては少し前(と思われる)の場面に切り替わります。

ストーリーとしてはあらすじとして公開されているものそのままだと思います。

  1. 廃校をアジトとする反政府軍のリーダー吉田とその妹リン。秋生は吉田を尊敬していて、リンは恋人である。
  2. しかし、吉田のリーダーとしての振る舞いには徐々に疑問点が出てくる。
  3. そんな中、秋生の不在時にリンが暴漢に襲われる。(暴漢の正体はこの時点で不明)
  4. 吉田への忠誠心の揺らぎと共に、リンへの愛情についても疑問を感じ始める秋生。
  5. 反政府軍アジトでの人間関係(捕虜含む)が段々と崩れていく。それに伴う死亡者も。
  6. そして、敵兵力の攻撃を前に終焉を迎える彼ら。

こんな感じのストーリーであるはずなのですが、その記憶は本当なのか?ということが一つのテーマとしてあるように思われました。

例えば、冒頭の秋生は「リンが襲われた時、実は自分はその場にいたのではないか」という疑惑を持っています。しかし、上演された内容を信じるならば、確かにあの時、秋生はアジトを離れて遠くに行っていたのです。

また、廃校の元生徒が埋めたタイムカプセルの手紙が一つのキーアイテムとしてあるのですが、それを再度掘り返したのは「殺されたはずの捕虜」なのです。しかも、彼は自分自身が死者であることに自覚的です。

現実らしきものと、フェイク(幻想?)らしきものが重層的に折り重なり、その揺らぎの中で何かをつかめそうな、でも、明確な答えは与えられないような、そんな構成でした。

その揺らぎのキーマンは捕虜のカワグチが担っているように感じます。二人いる捕虜のうちの一人(前述のタイムカプセルを掘り起こしたタニ)が死に、カワグチはタニの妻に届けるためタニの人となりを文章にするように吉田から指示されます。しかし、それほどタニのことを知っているわけではないカワグチは文章を飾り立て、つじつまを合わせるために「アジトで起こった事件」さえ改変して記載しているようなのです。(あるいは自らの不思議な体験(タニ(死者)との邂逅)を成立させるために?)

そんなカワグチの文章上の改変が現実世界にまで影響を及ぼしているかのようなニュアンスを感じました。カワグチはまるで舞台上からはみ出した存在であるかのようで、秋生はしばしばそんなカワグチと会話をするのですが、それが事件の時系列上の出来事なのか?全員が死者となってからの(幽霊的な存在同士での)邂逅なのか?形而上的なやつなのか?、あやふやに表現されているのです。(なんとなくエヴァンゲリオンのシンジくんの精神世界(?)での他キャラとの対話みたいな雰囲気)

あと、カワグチを見ながらBLEACHの月島さんを思い出したりしました(笑) (BLEACHの中でも完現術者(フルブリンガー)のお話はちょっと難解じゃないですか?)

そういえば、リンのセリフに「自分達が捕虜を見ているはずなのに、『見られている』気がする」というようなものがあり、彼女は捕虜の視線を怖がっていました。これによって、カワグチは仲間とは違う、何か異質の存在というイメージを抱かせます。舞台が終わってからパンフレットを読んだのですが、俳優さんの何人かが「岩松さん(脚本・演出)が自分のことをよく見てくれている」という発言をされており、カワグチは舞台外部にいる支配的存在(あるいは岩松さん自身)の影的存在だったのかなーと思ったりもしました。

でも、そのカワグチも一介の登場人物でしかないような描写もあるのです。

反政府軍には真山というマザコン気味の兵士がいて、彼の母親は真山を助けるためにカワグチを手懐け、カワグチはそれに伴ってあれこれと右往左往する羽目になります。そういうカワグチは「ただの人間」というイメージでした。これもこの舞台の「現実とフェイクの重層」の一面なのかもしれません。

 

あと、気になったのは秋生と吉田の関係性、それに伴うリンとの関係の連動です。

土居という兵士が、リンが襲われた後にアジトに戻ってきた秋生とリーダー吉田の再会の場面を語っているのですが、それがなんだかすごく生々しい言葉でなんですよね。戯曲の本を買ったので、そのセリフを引用します。

迎えた吉田さんの苦悩の表情っていうのかな、申し訳ない感じ……。それでいて秋生さんのこと待ちかねていたことが如実にわかるんです。秋生さんの手をとって唇をかみしめて「多岐川……」ってそれだけ。秋生さんも「遅くなりました」って……手を握りかえし……。オレなんかそばにいても口挟めなかったですからね……。こう……愛の圧っていうか、すごくって……。(後略)

空ばかり見ていた(岩松了

私は腐女子ではないのですが、もしやリーダーと秋生ってお互いに表に出すことはないけれど心の奥底ではプラトニックな愛で結ばれてるんじゃないの?と邪推したくなるような描写に思えました。

そうだとすると、秋生にとってリンはリーダーの代替品なのでは?みたいな疑念も湧きます。リーダーの代替として愛でることができる人形のような存在である女性。ゆえに、リーダーへの忠誠心(リーダーへの愛)が揺らぐと同時に、リンへの愛情に自信が持てなくなっていったのでは……?

そしてリンは、秋生が望むように行動すべきと自分を規定し始めます。舞台序盤は「前線に出て戦いたい」と言っていたガツガツ系の女性だったのに、秋生が自分と距離を取りたいと望んでいるようだと感じるからそのように行動する、と言うようになるのです。まるで、秋生の意のままに動くお人形さん。

【ちょっと余談】でも、「自分は秋生の意思に従う」とリンは自分自身で決めているはずなのに、それでも湧き上がってくる恋人への願望やドロドロした気持ちやを抑え込むことができない感じはリンのリンらしさ、人間臭さだなと思いました。自分にも身に覚えのある気持ちで、見ていてイライラするんだけど、わかるわかるわかるよーと頷いてしまいました。

そういえば、舞台の終盤、秋生はリンを愛し始めたトリガーを思い出そうと苦悩するところも興味深いです。それはおそらく秋生がリーダー吉田とリンの家に居候していた時のはずなのですが……。

秋生が吉田とリンと家に居候していた頃を思い出す時の「あの川べりのアパート」「あのアパートの夕暮れ」という秋生のセリフ。そこには何もないのに、剛くんの視線の先に穏やかで幸せな風景が広がっているように見えて、とても深くロマンチックな言葉のように聞こえました。

でも、彼らはそこでも「3人だった」。誰が誰を見つめたのが愛情の始まりだったのか……色々と想像の羽が広がります。

ただし、土居という男もだいぶ鬱屈した心を抱えているようなので、この邪推の前提とした彼のセリフをそのまま信じられるのかについては疑問があります。鬱屈した彼の眼からは秋生とリーダーが「そう見えた」というだけかもしれません。

何を信じればいいんだ……??? でも、その疑念こそがこの舞台の神髄なのかもしれません。

 

 

そして、終盤にはこの土居こそがリンを襲った犯人だと示唆されるのですが(あの上着のくだりはそういうことだよね?)、最終的にそれが本当にそうなのかまでは明確な言葉では説明されません。

この舞台では人物同士の言葉のやり取りが独特で、何人かで何かを話していると、誰かが急に関係なさそうなワードを放り込んできて、「え?」と話し相手が(見ている我々も)戸惑っているうちに話が進んでいく、みたいな流れが結構ありました。説明が難しいですが、事件の核心を説明するセリフはあまりなく、核心の周囲を形容するような言葉が飛び交う中で「そういうことなのかな?」と考えるような展開なのです。

膨大な言葉が行きかっているのに、確実な何かを掴めそうで掴めない。いや、実はとっくに掴んでいるのかも。でも、それを信じられるのか?

そんな疑念が絶えず湧いて、見ていて疲れつつ、なんだかすごく満腹感を感じる舞台でした。

 

堅苦しく書いてしまいましたが、途中途中にコミカルなシーンが結構入ってくるので、そんなに肩肘はらずに楽しく舞台を見ることができます。(特に商魂たくましい生保レディーの田中さんの演技がめっちゃ面白くてキュートだった!!)

自信をもって、とても面白い舞台だったと言えます。

 

【演出上の気になった点】

演出で気になったのは、田中さんと真山の母親の服が異様にきれいなことです。これは、田中さんと真山の母親が、反政府軍にとっての異物であるということを示しているのかなあと考えました。

だいたい田中さんからして、反政府軍のリーダーを保険に入れようとするって……おかしくないですか? それ保険の審査通るの……? 現実感なさすぎじゃねえ……?みたいなところがありますよね。

反政府軍のアジトである廃校には山を登らないと辿り着けないようなのですが、田中さんは白のスニーカーで廃校までやって来てから仕事向きのパンプスに履き替えるんです。汚れのない(ように見えた)きれいなスニーカー。反政府軍の人達は少し汚い感じなのに。どこか浮いた印象。

そんな田中さんに対してリーダーの吉田が甘く接することが、反政府軍の仲間内の不協和音に繋がっていく一面ともなっていたようです。田中さんはコメディーリリーフとしてすごくキュートで可愛い人、憎めない人なのに、一面では反政府軍の人達のバランスを崩す人でもあったのでしょう。

真山の母親は言わずもがなですね。派手で彼女のスタイルの良さが如実にわかる形状の華美な服。わかりやすく反政府軍の人達や捕虜を波乱に巻き込んでいきます。

でも、彼女達は別に悪意でそれを巻き起こしているわけではなく、善意や親としての愛情からたまたまそういう風になっていってしまっただけなのです。

そういえば、劇中では「自分の家族を大切にすることは他の家族を排斥することに繋がる」というようなセリフがあり*2、ある善意の行動が他の面からみると悪意の行動になりうることが表現されていました。それもまた、確かなことと欺瞞との揺らぎの一種であるような気がします。

うーん、この辺りももっと考えたら色々出てきそうですが、私にはこの辺が限界です……。

 

【剛担的な干渉ポイント】

まず剛くんの第一声に震えましたよね。

剛くんの普段のしゃべり声ってそんなに美声ではないと思っているのですが、舞台上でとか、ふとした時とかに聞ける剛くんの声はすごく深い声で大好きです。(普段の声も好きだけど笑)

なんというか、孤独・孤高な少年の声というか。でも、すごく優しさも感じる温かい声でもあるのです。キャラメルボイス系でキラキラしているんだけど、すごくダウナーな香りのする魅力的な声で脳天を抉られます。そんな剛くんの素敵な声をたくさん聴けてとっても幸せでした。

 

剛くんのヴィジュアルも個人的に満点突破で最高でした。あのヴィジュアルやべえ。やや長めの黒髪をバランスよく左右に分けている感じのあの髪型! 小柄な体型! 黒目がちの瞳! 私、基本はバンギャルなので色白の細い人が好きなはずなんですけど、浅黒い剛くんのヴィジュアルがなぜか大好きなんですよね。担当を好きになるのって不思議。

今回の舞台での剛くんがミリタリーファッション(反政府軍なんだからミリタリーそのものだ)に、細身のパンツをブーツイン(しかも編み上げ式のブーツ!)している格好が、もう個人的にツボすぎて、なにあの細い脚、ヤバい鼻血が出そう……。

だんだん変態じみてきたのでこの辺りでやめておきます。

 

ファンクラブでS席のチケットを申し込んだので、割と前の方の席で舞台を見ることができたのですが、お芝居中の剛くんが演技上の動作で客席側に視線を向けることがあるんですよね。なんだかそれが怖くもありました。

やだ!まっすぐ剛くんの目が見られない!怖い!みたいなオーラ。

(ワシは仕事以外ではあまり人と関わらないように生きている、半分人間失格状態だからかな……)

 

あと、怪我をしたリンを介抱する場面での秋生が優しすぎてヤバかったです。甲斐甲斐しく毛布を掛けてあげるなどしているのですが、その手つきの優しさとか、声を掛けるときの声音の優しさとか……なんかもう、剛くんの優しみ爆発でヤバかったです。

剛くん、そういうの絶対モテるやつじゃん! そんなことしちゃダメ~!! いややっぱり、ダメじゃない、そういうの(サービスシーン?)もっと見せろ~!!

みたいな感じで、私の心の中は絶叫で満たされていました。

いや、真面目に舞台観てるんだけどさ。ほら、瞬間瞬間でやっぱり自担は自担として見ちゃうじゃないですか。ごめんなさい……。

 

改めて、やっぱり舞台の上に立つ剛くんの纏う雰囲気は最高だなと思います。

誤解を恐れずに書くならば、結婚後しばらく演劇のお仕事の入っていなかった剛くんは、なんとなく福々しいお顔をしている気がして、私は「可愛い~(*´▽`*)」と思いながらニヤニヤしていました。別に太ったとかそういうのじゃなくて、なんとなくまろやかな表情で、座り心地のいいソファに気持ちよく腰かけているようなお顔だな~と思っていました(気のせいかもしれないですが)。若干変態な私は、ニヤニヤしながら剛くんのお写真や映像を観察していました。

そのまろやかさが今回の舞台では削ぎ落とされていた感じがしました。ソリッドで鋭い雰囲気の剛くんが舞台の上にいて、さすが我が担当! 舞台に向けて自分を作りこんでくる自担最高!! やっぱり舞台にあがる剛くんは素晴らしすぎじゃ~!!と私の心の中はお神輿を担ぎだしてのお祭り状態でした。

なんか、剛くんって、そこにいるだけでドキドキさせられちゃいます。

素晴らしい舞台に主演として呼ばれ、期待通りに素晴らしい演技を見せてくれる剛くんを本当に尊敬しています。

 

 

最後に

そんな感じで、掴めるような掴めないような舞台であったわけですが、色々な考えが自分の中で渦を巻き、見終わったときにはものすごい満腹感を得られる舞台でもありました。

そして剛くん最高。きっとこれからも素晴らしい舞台に呼ばれて、素晴らしい演技を見せてくれるのだろうと思います。楽しみです!!

 

 

 

*1:ヴィジュアル系バンドのファン

*2:すみません、戯曲本からその個所を見つけられなかったです