THE STARRY RIFT

ヴィジュアル系バンドや女性・男性アイドルについて気ままに駄弁るブログです。

カルペディエムのアルバム「Carpe diem」 ファンタジックで繊細で、ロックのカッコよさも詰まっていて、本当に新人ですか?なクオリティー

カルペディエムを初めて見た時のこと

私が初めてカルペディエムを見たのは、確か、池袋CYBER*1だったと思います。ヴィジュアル系バンドが5組くらい出るイベントで、私は別のバンドが目当てで見に行っていたのですが、その時たまたま出てきたカルペディエムの演奏を見た瞬間、「なんだこれスゲーいいバンドじゃねーかよ!(興奮して言葉遣いが乱暴)」と。ほぼ一目惚れだったのを覚えています。

その時はまだベースのHeroさんが合流していなくて、ボーカルのChroさんとギターのNaoさん二人だけのステージでした。しかも、ベースもドラムもサポートを入れずに同期の音を使っていたせいで、音がスカスカした感じではあったのですけれども、それでもスゴイ!と思わせる雰囲気がありました。

なんと言いましょうか、これだけクオリティーの高いストレートな歌ものロックを作れるバンドは、今のシーンの若手ではなかなかいないと思うのですよ。ファンタジックな雰囲気がありつつ、憂鬱感が漂いつつ、しっかりした歌のメロディーがありつつ、ドキドキするようなロックのカッコよさもありつつ、ギターはうまいし、ボーカルは独自の不思議な雰囲気と表現力がある! これは生のドラムとベース入れたら凄いに違いないぞと。

それからバンドのHPをチェックして、別の日にまた違うイベントに出るのを見に行ったら、ベースのHeroさんとサポートドラムさんが入っていて、やっぱり見違えるほど素晴らしくて感動しました。私はメンバーさんと話すのが苦手なので*2、スタッフさんがいる隙に物販に寄ることが多いのですが、この時はスタッフさん+メンバーさん達で物販されておりまして、必死に「ベースとドラムが入ってすごくかっこいい音でした!」と訴えていた気がします。が、記憶が飛んでおり、おかしな態度でなかったか、自信がありません……。うぐぐぐ……心臓が苦しくなってきた……。

気を取り直しまして。

そんな彼らがシングルCDを何枚かリリースor配布した後に、満を持してドロップしたのが、この「Carpe diem」というアルバムなのです。自身のバンド名を冠したこのアルバムは、まさにこのバンドの根幹を体現した作品になっていると思います。

というわけで、本日の記事はアルバム「Carpe diem」について書かせて頂きます。

 

アルバムの内容

そもそも、「カルペディエム」とはどういう意味かを調べてみますと、古代ローマ時代に作られた詩に登場する一節のようです。「その日を摘め」という意味で、「今という時を楽しめ・大切にしろ」というような趣旨で使われる言葉だとか。

彼らの音楽を聴いていると本当に真摯に音作りに取り組んでいるのだろうなと思わされるので、彼らの在り方にぴったりな言葉なのではないでしょうか。

 

さて、肝心のアルバムの内容なのですが、少し独特な構成をしておりまして、何曲かのSEやインスト曲が、1曲目・曲間・最後に挿入されているのです。幕間と舞台をイメージした歌劇的な構成(?)となっていて、作品の味わいを増しているように感じます。

というわけで、勝手に部を分けて感想を書いていきたいと思います。

 

第1部

1曲目は「Prologue」と題されたSEで、時計の針の音をフィーチャーした繊細でおとなしめの曲ですね。

そこからいきなり、テンション高めのイントロが特徴の「魔女のお話」に入ります。この楽曲にはどことなくスカっぽい雰囲気(このあたり私のテキトーな印象ですが)すら感じさせるノリがありつつ、歌メロは独特の暗さと切なさ、歌詞はダークというか後味の悪い感じ。そのバランス感がカルペディエムっぽい!とまず唸らされます。

続いて、3曲目は「憂鬱」。これも疾走感のあるカッコいいロックでありつつ、歌詞や歌メロは切なく、苦しく、慟哭するような感じもあるのです。

そこからの4曲目はうって変わって、スローな、極上のバラードである「夢見る夢」。この曲はとにかく切なくて美しいのですが、楽器隊の演奏にも、歌い上げる声にも力強さがあるのです。途中、一瞬音が止まって、そこからドラムがインして全員の声と演奏が入る部分があまりにもキマッていて、ちょっと心臓がギュウっとなってしまいます。

カルペディエムはとにかくバラードに強いバンドだと思います。バラードだと力を出し切れないような雰囲気になってしまうバンドもあるかとは思うのですが(そうじゃなくても、ちょっと休んでいるように見えちゃったり)、カルペディエムの場合は全員が全力でぶつかってきているような凄味を出せるのは大きなアドバンテージだと思っています。特にChroさんの歌のオーラは凄まじいです。

 

第2部

5曲目は「Masquerade」というインスト曲。はじめはストリングス系の音を使った優雅な舞踏会風の雰囲気だったものに、途中からバンドサウンドが加わり、荒々しい波に飲み込まれていくように感じます。不安感を煽りつ、力強さも見せつけられるような感触。

続いての6曲目は「M -secret story version- 」です。「M」はシングル曲で出されていますが、それのバージョン違いですね。おそらく「M」というのはマリオネットのMなのかな? 「言葉なく生まれ落ちた私の代わりに 大事な人に愛を伝えてくれませんか?」という切ない歌詞が乗る楽曲には、繊細な可愛らしさを感じます。でも私は歌のメロディーには歌謡曲的なねちっこい雰囲気も感じるのですよ。その独特なバランス感が癖になる曲です。

続いて7曲目の「箱舟」。こちらは3拍子の曲ですね。「M」に近い、繊細な雰囲気のありつつ、Chroさんの高音で歌い上げる系のメロディーが印象的です。

 

第3部

8曲目は「Monologue」というインスト曲。こちらはアコースティックギター(だと思う)をメインに据え、ナチュラル感と切なさとにがみが淡く重なったような雰囲気がありますね。

続く9曲目は「私の声」。こちらも、「夢見る夢」と同じように、カルペディエムの十八番と言っていいであろう、極上の切ないバラードです。「夢見る夢」もそうですが、特に、サビで盛り上がって高音で歌い上げる声が本当に美しいのですよね。ゆったりとしたスローテンポをじっくりと聴かせてくれる楽器隊も素晴らしいと思います。きちんと楽器隊の聞かせどころが設けられているところも心憎いです。

10曲目は「妄想シンデレラ」。この曲で疾走感のあるロックへと再び回帰します。ファンタジックさと薄暗さのあるカルペディエム的世界観。ギターソロも相当かっこいいです。

次の11曲目は「花向け」という、これまたシングル曲。こちらも疾走感のあるロックですが、ちょっとヴィジュアル系懐古主義的な要素を感じられる、バンギャル的には心地の良いロックチューンなのです。

さて、ボーカル有りの最後の曲は12曲目の「摘まれた時間」。自らのバンド名を意識したであろうタイトルが付けられたこのバラードは、1曲目の「Prologue」で使っていた時計の針の音をリズム音に取り入れています。これも素晴らしく切ないバラードなのですが、「夢見る夢」や「私の声」よりも華やかさのある印象でしょうか。

そして、本当に最後の曲は「Epilogue」。鍵盤の音で、ゴシックな、少し怖いような雰囲気のある旋律が奏でられています。ライブでの退場時にも使われている曲ですね。恐ろしいような雰囲気に不安を煽られる反面、余韻が心地よく響く曲でもあります。

 

以上、駆け足で各曲について書いてみましたが、とても聴きごたえのあるアルバム作品なので、とってもお勧めのアルバムです!

CDはライブの物販で購入できますが、closet childというヴィジュアル系専門のCD屋さん(ネットショップ)でも購入できますよ。

www.closetchild-cd.jp

 

カルペディエムの魅力

ファンタジックな雰囲気がありつつ、疾走感で駆け抜けるロックのカッコよさも詰まっていて、バラードにも心が震える。ひょっとして最強なんじゃないでしょうか、このバンドは。

世界観的には、決して晴れることのない薄曇り、白々としながらも明けることのない夜、そういうグレーな印象を受けます。

けれども楽曲には力強さも感じるのですよね。そこはかとなく男らしさが漂っているように思うのです。カルペディエムのメンバーでラルクのコピーを披露したこともあるようなので、ラルクフォロワーなのかもしれないですが、楽曲を聴いていると結構ルナシーとかの影響も大きく受けているのではないかなと考えています。あとは歌謡曲やフォーク的な力強さ。

Chroさんは中性的な外見で声も高めですが、強く歌い上げる歌い方はどこか男性的だなあと思いますし、Naoさんの速弾きを取り入れたギターも男性的な美しさがあり、Heroさんはチャラ男扱いを受けていますがベースはバリバリ弾きつつ、かなり野太い音で楽曲をがっちり支えている印象なのです。その辺りが力強さの源なのでしょうか。

ライブは「きゃ~、かっこいい~!」っていう雰囲気よりも、じっと聴いて「すごくいいライブだった……」とじーんと感動するようなことが多いです。

もちろん、ステージ上の三人はとてもカッコいいですよ! そこは当たり前です。

 

このバンドではNaoさんが主に作曲を担当されていたようですが、2ndアルバムではChroさんとHeroさんの作曲した楽曲が収録されました。楽曲の幅が広がってさらに面白くなってきた!と思っていたのですが、来月で無期限活動停止することが決まってしまったのですよね……。残念すぎる気持ちではありますが、こればかりは仕方がないです。悲しいけれども。

カルペディエムが素敵な楽曲を作ってくれて、素晴らしいステージを見せてくれて、本当に感動したんですよ、私は。だから、最後まで応援してありがとうの気持ちを伝えられたらなと思っています。

あまりバンドの人とか宛てに書いてことがないのですが、お手紙を書いてみようかなあ……。なんて書けばいいのか……。まずは素敵なレターセットを買ってこなければ。

*1:池袋駅から北の方にある、ヴィジュアル系バンドがたくさん出るライブハウス。

*2:握手会とか撮影会とかに参加すると、コミュ障に起因する緊張のあまり、私は挙動不審な変人と成り果てるのです。そして、イベント参加後、深く落ち込んでなかなか立ち直れなくなるという……。このため、その手のイベントにはあまり参加しなくなってしまいました。ごく稀には参加しますが。