THE STARRY RIFT

ヴィジュアル系バンドや女性・男性アイドルについて気ままに駄弁るブログです。

私的この音源がスゴイ!2015 バンギャルがV6とか女性アイドルとかにもハマった結果。

あけましておめでとうございます(遅い)。当ブログ管理人のフミヅキです。はじめましての皆様も、こんなヴィジュアル系バンドやアイドルへの偏愛と独断に満ちたブログを時々読んでくださっている奇特な皆様も、どうか本年もよろしくお願い致します。

 

さて、2016年一発目の記事は新年に向けて新たな抱負を……ではなく、私が昨年購入した2015年発売の音源の中から、これはスゲエ!と思わされた作品をベスト10形式で書いてみようと思います。得意の独断と偏見です。お許しください。

では、サクサク行ってみましょう。2015年オススメ音源をカウントダウン!!

 

第10位 Chantyの世界へようこそ(Chanty)

第9位  TRIP & TREASURE TWO(タッキー&翼

第8位  FAMILY PARTY(己龍・Royz・コドモドラゴン)

第7位  12(cali≠gari

第6位  HAPPY BIRTHDAY KILL YOU(BugLug)

第5位  YOU ARE THE WORLD(ゆるめるモ!

第4位  Super Very best(V6)

第3位  Voyage(Sadie)

第2位  小さな銀貨を左手に(amber gris)

第1位  剥製(Plastic Tree

 

下記、うだうだとしょうもない感想を書いてみます。

 

第10位 Chantyの世界へようこそ(Chanty)

Chantyというヴィジュアル系バンドの1stアルバムです。Chantyは2013年頃から活動しているバンドで、ボーカルはex-Administratorの芥さん、ベースはex-ケミカルピクチャーズの拓さんです。*1

ヴィジュアル系の音源感想ブログ等を読んでいてこのアルバムが気になったので買ってみました。そうしたらなんか……何て言っていいかわからないけど不思議な味覚に驚かされました。Chantyについては、なんとなくキラキラポップ系の甘い曲を演奏するバンドというイメージを勝手に抱いていたのですが、ちょっと違いました。実際はアクが強い濃い目の味って感じ。

1曲目、「犬小屋より愛をこめて」というインパクトあるタイトルにちょっとビビりますが、音的には中期後半のPlastic Tree的な、疾走感のあるオルタナロック風の曲。歌詞も人生の不条理に対する切ない刹那的な気持ちを表したものであり、心にグッときてしまいました。

2曲目の「真相」や3曲目の「おとなりさん」などは外連味のあるロック。キメるべきところで音がくっきりとキマッているところがカッコよくて、聴いていて気持ちがいいです。

他にも綺麗めな曲、疾走感のある曲などありますが、いずれもくっきりと浮かび上がってくるようなリズム感と癖のある世界観が楽しかったです。芥さんの声もちょこっと癖がある感じが曲にハマっていると思います。

収録曲の中で特に気になったのは「パセリ」という曲。おしゃれ感のあるというか、一昔前のトレンディーな香りのする音に乗せられた歌詞は、洋食の付け合わせのパセリに関すること。そのパセリに人生の悲哀が反映されつつ、パセリの意外なる運命が……という、すごく面白い曲でした。

「ひどいかお2」はラフでポップな楽しい雰囲気のロック。花粉症でひどい顔になってる女の子がかわいくて、ついいじわるしたくなっちゃう、キミは僕だけのもの!みたいな歌詞が可愛すぎて好きです。

狭い意味ではヴィジュアル系っぽくない曲達だと思うのですが、要所に漂うヴィジュアル系らしい外連味ある音、そして、曲の自由度はまさにヴィジュアル系と言えるかも。真剣さとちょっと気持ち悪いユーモアが上手にブレンドされてるところも好きです。これからもこのバンドをチェックしていこうかなーと思わされたアルバムでした。

www.youtube.com

www.youtube.com

 

第9位 TRIP & TREASURE TWO(タッキー&翼

V6を目的に録画した音楽番組でタキツバの山手線の歌を見かけ、「タキツバの曲スゲー!」と度肝を抜かれたのが始まりでした*2。とりあえずそのシングル買ってみようかと思ってタキツバのディスコグラフィーを調べていたら、新しいミニアルバムの楽曲提供者が持田香織さんに綾小路翔さんに横山剣さん……え?河村隆一さん??それに清春さんまで!?ということを知り、これはバンギャル的にはちょっとチェックしなきゃでしょ!とこのミニアルバムの購入を決意しました。(注意:このミニアルバムには「山手線内回り~愛の迷路~」は収録されていません)

今までタキツバはテレビで見るくらいでした。「Venus」とか「夢物語」とかのギラギラしていて懐メロ的な雰囲気もある曲は、大人の遊び心みたいな雰囲気があって素敵だなーとは思っていたのですが、CDを購入するまでは至っておらず。だから、正直このミニアルバムもそこまでは期待していなかったのです。

しかしながら、一曲目、持田さん提供「ソラソラヲ」のイントロ、欧州民族楽器を使ったような異国情緒溢れる音を聞いた途端に、アルバムタイトル通りに心は早くも海外へトリップしました。そして、この曲はナチュラル感に満ちておりまして、ギラギラした曲を予想していた私のイメージをいい意味で裏切ってくれました。爽やかで暖かい。こんなタキツバもいるのかという新鮮な驚き。

そのまま爽やかめの楽曲が続き、こんなタキツバもいいなあ……と思い始めていた矢先、突如、「ペンデュラム・ラヴ」でギラついた大人の時間が始まります。この展開楽しい。

そのまま、綾小路翔さん提供「愛し尽くす2016」へ突入し、さらにテンションは上昇。

「俺んとこ来ないか?」

曲中に翼くんによるセクシーな囁きが入る、超絶にギラついたこの曲。さすがは綾小路さん。途中に「Wa are タッキー&翼さ」などの歌詞も入り、ものすごくキャッチーな楽曲に仕上がっていて、テンション爆上がりです。

清春さん提供の翼くんソロ曲「ZERO G」は、SADSの忘却の空とか黒夢の少年に近い雰囲気かもしれませんね。疾走感のある楽器隊の音と、清春さん独特のアクの強い派手な歌メロディーとの対比がカッコいいのです*3河村隆一さん提供の滝沢くんソロ曲「forever 君を…」は美しく暖かい曲で、麗しのタッキーにぴったりだと思いました。

最後は二人で歌い上げる「Vertigo」でしっとりと終幕。

なんというか、タキツバ初心者としてはやられたなーと感じたアルバムでした。Plastic Treeのインタビュー目的で購入した「音楽と人」の音源レビューコーナーで、音楽ライターの方がこのミニアルバムについて「(楽曲提供者の顔ぶれについて触れてから)どんな色にも正直に染まっていけるタキツバはさっすがプロの仕事」と書かれていたのですが、まさに!と膝を打ちました。

タッキー&翼、侮りがたし。

 

第8位 FAMILY PARTY(己龍・Royz・コドモドラゴン)

B.P.Recordsという事務所に所属している3組のヴィジュアル系バンドが合同で出した作品です。リリースにあたっては、3バンド合同曲1曲と各バンドそれぞれ3曲ずつ新曲が製作されました。

でも、売り方はどうかと思うのですよね……。

 

【初回限定盤:A】

繚乱レゾナンス(3バンド合同)、泡沫(己龍)Emotions(Royz)クロトアカ(コドモドラゴン)、繚乱レゾナンス(カラオケ) + DVD(繚乱レゾナンスのPV・メイキング)

【己龍初回限定盤:B】

泡沫(己龍)Emotions(Royz)クロトアカ(コドモドラゴン)泡沫(カラオケ) + DVD(泡沫のPV・メイキング)

【己龍通常盤1:C】

泡沫(己龍)煉獄(己龍)Emotions(Royz)クロトアカ(コドモドラゴン)

【己龍通常盤2:D】

泡沫(己龍)拡聲ニ蝕ユ蠢(己龍)Emotions(Royz)クロトアカ(コドモドラゴン)

【Royz初回限定盤:E】

Emotions(Royz)泡沫(己龍)クロトアカ(コドモドラゴン)Emotions(カラオケ) + DVD(EmotionsのPV・メイキング)

【Royz通常盤1:F】

Emotions(Royz)Lolita complex(Royz)泡沫(己龍)クロトアカ(コドモドラゴン)

【Royz通常盤2:G】

Emotions(Royz)Always(Royz)泡沫(己龍)クロトアカ(コドモドラゴン)

【コドモドラゴン初回限定盤:H】

クロトアカ(コドモドラゴン)泡沫(己龍)Emotions(Royz)クロトアカ(カラオケ) + DVD(クロトアカのPV・メイキング)

【コドモドラゴン通常盤1:I】

クロトアカ(コドモドラゴン)TETRA(コドモドラゴン)泡沫(己龍)Emotions(Royz)

【コドモドラゴン通常盤2:J】

クロトアカ(コドモドラゴン)Sick?(コドモドラゴン)泡沫(己龍)Emotions(Royz)

 

スゲー多種売りだよ!(書くの面倒臭かった……見にくいからバンドごとに色分けしてみた)

しかも3バンドの全曲を網羅したバージョンがないのかよ!

バンドごとにファンがいることを考えれば、それぞれのバンドバージョンがあるのはいいとしても、各バンドバージョンまでもがそれぞれ3パターンあるとか……。今の時代、仕方がないのかなあ……。

私は「繚乱レゾナンス」を一番聞きたかったのでA盤が欲しかったのですが、発売日から遅れて地元のCD屋さんに行ったらA盤が売り切れていたためD盤を買いました。収録されていない曲は配信サイトで1曲ずつ買おうかなと思ったのですが、moraで全曲セットを2000円で売ってるのを発見。もう面倒くさいのでそれを買いました……。最初から配信に頼ればよかったのか……?

そんな文句を言いつつも、内容には文句なしです。是非とも全曲聞いて3バンドそれぞれの個性を存分に味わって頂きたい仕上がりでした。

まず、合同曲の「繚乱レゾナンス」ですが、思っていた以上に琴や笛の音のような和風の音の飾りがついていて、一瞬、己龍っぽ過ぎないかと思うのですが、歌のメロディーはストレートな感じがして、そういうところで己龍とはひと味違う雰囲気になっています。それに、この曲は3バンドのボーカル全員が参加しているのですが、その3人の声の違いが面白いです。3人とも高めのきれいな歌声なのですが、まずはRoyz・昴さんの柔らかい歌声でスタートし、コドモドラゴン・ハヤトさんによる少年ぽい歌声が続き、最後に己龍・眞弥さんの化け物じみた声が順に繰り出され、うおお!と圧倒されます。そしてサビの合唱。なんというか、夏休み特別映画・歴代ライダー夢の競演!みたいな感じでとても楽しかったです。

己龍単独3曲はいかにも己龍らしく、和風の気持ち悪い世界観とメロディ、楽器隊の低音・手数の多い演奏の迫力が魅力の和風ホラーロックでした。痺れますねえ。

続くRoyzの曲は、まず「Emotions」がすごくいいのです。低音でザクザクと刻むロックが始まってカッコいいなと思っていたら、曲の途中から伸びやかに広がって行き、その優しく心地よい音にびっくり。こんなに気持ち良い音楽を作るバンドたったのかと驚いていたところ、2曲目「Lolita Complex」でのエッジの聞いた音と悪徳な歌詞にハッとさせられ、3曲目で白系の心地よい曲となり……と翻弄されました。

コドモドラゴンは2バンドとはまた違う音楽性ですね。尖った雰囲気のバンドサウンドに、同期の音やエフェクトを要所要所で使い、病んだ世界観を鋭く表現しているのですが、どこか可愛いらしさがある音楽なのです。特に、3曲目「Sick?」の「弱い者イジメ最高」という呟きで始まる曲が音も歌詞も尖っていて好きでした。

www.youtube.com

 

第7位 12(cali≠gari

メンバーの入れ替えが激しい印象のあるcali≠gariですが、活動休止前後の比較的長い期間、第7期(ボーカル・石井秀仁、ギター・桜井青、ベース・村井研次郎、ドラム・武井誠)の形態で安定していました。しかし、2014年に誠さんが脱退してしまい、cali≠gariの新しい活動はどうするのかなあと思っていたら、第8期は秀仁さん・青さん・研次郎さんの3人での活動となり、ニューアルバム「12」は外部から4人のドラマーを招いて製作されました。結果、ドラマーの個性の違いを生かすべく特性の違う曲がそれぞれのドラマーに割り当てられ、このアルバムは幅の広い音楽性でありつつも、より洗練された(あるいは奇形化が顕著になった)イメージのアルバムとなったように感じました。

1曲目の「わるいやつら」ですが、いきなり「死ねばいいのに」「あんたの顔を見るのが不愉快」と低い声で吐き捨てるように歌われ、震えます。秀仁さんのあの奇妙な色気のある声でこれをされるとヤバいですね。楽器隊の、ラフな感じがするのにやたらとガッチリ・カッチリ組み上げられた音も癖になる曲。

2曲目の「脳核テロル」は、すごい速さのバンドサウンド(cali≠gariらしくちょっと不協和音な雰囲気も所々にある)で攻めていたと思ったら、「え?データ壊れた?」みたいな不自然に長い無音が挿入されるという、カッチョイイ変な曲になっております。

それから、6曲目「ギムレットには早すぎる」は、CAT'S EYE(アニメ・キャッツアイの主題歌)的というかなんというか、今の時代にそんなにトレンディーでキャッチーでアダルティーな曲をやるのかよ!みたいな楽曲なんですけど、同時にどこか新しい空気感も纏っているのです。これはベースのフレーズが凄すぎるというのも要因として大きいのかも。古いのに新しい曲。

他にも青春ロックな曲とか、爽やかEDM風の曲とか、なんと形容していいのかもわからない曲とか、サックスの音を大胆に活用したちょっと奇妙な雰囲気のロックンロールとか、しっとりとしたミディアム・バラードとか、やたらと郷愁を誘う曲とか様々あります。私の言語能力では彼らの音の個性を表現しきれないのが悔しいです……。

どれもけったいな曲だなーと思うのです。なんか捩じくれた感じ。しかし聞き辛いというわけではなく、ガッチリと組み上げられたすごく芯の通った音楽だなあとも感じるのです。でも、やっぱりなんか変。そんな腑に落ちない、奇妙な味覚が中毒となってしまうアルバムで、やっぱりcali≠gariスゲエなと思わされた音源でした。

www.youtube.com

www.youtube.com

 

第6位 HAPPY BIRTHDAY KILL YOU(BugLug)

BugLugというヴィジュアル系バンドの2ndアルバムです。

キャッチーで可愛い! でも、根底に骨太なロックサウンドが感じられて、それががっつりとその屋台骨を支えている感覚が心地よいバンドです。飛び跳ねたくなるような気持ちのいいノリの良さが魅力だと思います。

今作でも、そんなBugLug節が炸裂しておりました。しかも、表現が前のアルバム以上に洗練されたというか、表現の幅が広がったというか、パワーアップしたBugLugを見せつけられた感があります。一聖さんの歌声も、前作以上にダイナミックに、感情的な表現力が増している印象を受けました。聞きやすい歌声なのですが、ロックボーカリストらしい激情感もガッチリ伝わってきて素敵でした。

表現の幅の広がりで言えば、例えば「猿」という曲の一部にHIPHOPとかレゲエ的なアプローチが入っていたり、「毒蜘蛛」でのEDM的なアプローチ、「ENMA」でのメタル的なアプローチ、他にも和風とかクラシック風とかアラビアン風とかジャズ風とか、このアルバムでは様々なジャンルの要素をちょっとずつ取り込んでいます。でも、BugLugらしいキュートさと骨太リズムが常に基底に感じられるためか、BugLugの作品として違和感なく安心して聴くことができました。それって何気にすごいことでは。何より、そのバラエティー豊かな音達がとっても楽しいのです。

「HICCHAKA x MECCHAKA」という曲も楽しいですね。緊張するような音で始まりながらも次第に楽しく溌剌と発散していくイントロや、可愛いくてちょっと早口な感じの歌メロディーにも惹かれます。なにより、全然雰囲気の違う音のパートをザクザク縫い合わせていく曲の展開がとても楽しいです。

とにかく楽しいアルバム。聴いていると踊り出したくて体がウズウズしてしまうような、とてもパワフルな作品でした。

www.youtube.com

www.youtube.com

 

第5位 YOU ARE THE WORLD(ゆるめるモ!

脱力系・ニューウェーブな6人組アイドルグループ ゆるめるモ!の2ndアルバムです。

ニューウェーブな曲を中心に独自の音楽路線を歩む彼女達ですが、今作もすごいです。音も歌詞も楽しく可愛くぶっ飛んでる! 楽曲提供者(Koji Nakamuraさん(LAMA,Nyantora,exSUPERCAR)、後藤まりこさん、ハヤシヒロユキさん(POLYSICS)、ハシダカズマさん(箱庭の室内楽)、ミドリカワ書房さんなど)の名前を見るだけでも期待感が膨らむ人が多いのではないでしょうか。はっちゃけた曲、夢見がちな女の子っぽい曲など色々あり、曲自体には一筋縄ではいかない雰囲気はあるのですが、それをアイドルが歌っているからこそ、素直に楽しい!可愛い!と聴くことができるのも魅力だと思います。

このアルバムにおいてまず私が言いたいのは、「1!2!かんふー!」における掛け声とか「難」における”受難・up to・楽しい兆しだ”の歌い分けの部分での、あのちゃんとちーぼうちゃんの役回りがズルいということです。あのちゃんは外見も声もふわふわしていて生身の人間っぽくない可愛いらしさ(彼女の可愛さを何と言って表現すればいいのかわからん)があり、それが如何なく発揮されておりまして、声を聞いているだけで「ふおおおおお!クソかわえええええ!どうしろってんだああああ!」となります。一方のメンバー最年少・ちーぼうちゃんは掛け声も歌もちょっとぶっきら棒な感じなんです(笑) 女の子らしくないというか、アイドルっぽくないというか、雑な感じ……?(ごめんね) でもそれがいいんですよ! その雑な感じが曲の雰囲気にすごく合っているのです。おばさんはちーぼうちゃんの声にキュンとしてしまいました。

私はちーぼうちゃんにポテンシャルの高さを勝手に感じているのです。これからどんな方向にも育って行けるという未知の可能性がバシバシ感じられる。ジャニーズのグループでも岡田くん・長瀬くんなど最年少メンバーの成長具合ってすごいでしょう? だから、ちーぼうちゃんがこれからどんな女の子になっていくのかが楽しみなのです。今はまだちょっと不器用で不安定な雰囲気があるのですが、その雰囲気自体も可愛らしくて魅力的だなーと思っています。

このグループはメンバー自身の個性もそうですが、歌い方・歌声も六者六様なんですよね。

上で挙げたあのちゃん・ちーぼうちゃんの他にも、ようなぴちゃんの伸び伸びした声、しふぉんちゃんの溌剌とした歌声、けちょんちゃんのなぜだか心地よい気怠い脱力感のある声。そんな中で、もねちゃんは一番アイドルのパブリックイメージに近い可愛らしさがあるのかなと思っています。だから、ちょっとこのグループのコンセプト的には浮いて見えるかもと思うのですが、そんなもねちゃんの声こそがグループのコア・基底になっていると私は考えています。もねちゃんがいるからこそ、アイドルグループとしてのゆるめるモ!が成り立ち、メンバーの個性や声がバラバラでも纏まって見える・聞こえるのだと思っています。

そんな風に個性に富んだメンバーの歌が、極上に楽しくてはち切れた楽曲群に乗っかっているのです。これが楽しくないわけがないですよね。

私はこのブログで時々音源感想とか書いていますが、実はあまり音楽の理論とかジャンルとか技術論とかわかってないからテキトーに思うままを綴った記事になっちゃっています(オイ!)。でも、このゆるめるモ!のアルバムはそんな理論的なお話や技術論はどうでもいいんだよ!と言っているように聴こえます。アイドルだからこそ、伸びやかに自由に楽しくジャンルを超えていける。だから、楽しいと感じるものは楽しい!いいと感じるものはいい!可愛いと感じるものは可愛い! そうやって素直に楽しめるアルバムだと感じました。

www.youtube.com

www.youtube.com

 

第4位 Super Very best(V6)

昨年、デビュー20周年を迎えたV6が、20年間を振り返ってのベストアルバム「Super Very best」をリリースしました。CD3枚に渡って全シングル曲が収録されておりまして、彼らの歩んできた道のりの長さを感じることができます。このアルバムは初回生産限定盤A・初回生産限定盤B・通常盤・LoppiHMV限定盤・V6 20th ANNIVERSARY SHOP限定盤の全5形態でリリースされました。

 

初回A:新曲「〜此処から〜」収録。「〜此処から〜」のPVや合宿企画(前編)等を収録した特典DVD付き。

初回B:新曲「Wait for You」収録。「Wait for You」のPVや合宿企画(後編)等を収録した特典DVD付き。

通常盤:シークレットトラックがあるらしい(私は未購入。すまぬ。)

LoppiHMV限定盤:新曲「HELLO」収録。ラバーバンド(メンバーカラーの6本)付き。

V6 20th ANNIVERSARY SHOP限定盤:54曲のPVを収録したDVD付き。完全受注生産品であり、パッケージ表面に購入者の名前を印字。

 

特典DVDが伝説的な仕上がりだったということは大きく主張したいところですが、ここでは収録曲のことだけ書こうと思います。

Disc1はデビュー曲である「MUSIC FOR THE PEOPLE」から続くユーロビートの楽曲群にまず痺れますね。時代が一回りして、ユーロビートは再びかっこよく聞こえるジャンルになっているのではないかと勝手に思っています。聞いていると6人のクールなダンスが目に浮ぶようですなあ。

そこから、「愛なんだ」や「WAになっておどろう」などの暖かい幸福感に満ちた曲、「翼になれ」や「over」などリスナーの隣にそっと立って応援してくれるような優しい曲など、楽曲の幅が広がっていきます。「Believe Your Smile」など、アイドルだからこそ真っ直ぐ伝わってくるストレートに爽快な曲も素敵です。

Disc2では、V6の成長に合わせるように、少しずつ音楽の方向性が変化していっているのがわかります。「グッデイ!!」や「HONEY BEAT」など、アイドルらしさを感じる可愛い曲がある一方で、「出せない手紙」や「メジルシの記憶」などの切ない曲、「COSMIC RESCUE」や「サンダーバード」などデビュー時とは少し雰囲気の違うクールなダンス曲、「ありがとうのうた」や「UTAO-UTAO」などのナチュラル感あふれる曲などが収録されているのです。

Disc3では大人なV6の魅力が爆発します。「蝶」や「GUILTY」などの色気のあるダンス曲、「only dreaming」や「涙のアトが消える頃」など大人の切なさが詰まった曲、「Sexy. Honey. Bunny!」や「バリバリBUDDY!」や「kEEP oN.」など、大人が本気でやる遊び心に満ちた曲などなど。聴いていてとても面白いです。

剛くんがDVDで言ってた「V6はいい曲が多いね」はまさにそのとおり! 曲達を聞きながら、それを肴にいくらでも美味しくお酒が飲めそうです。

けれども、やはり新曲がものすごくよかったというのがこのベスト盤の一番の印象でした。

初回Aの「~此処から~」は、特典DVDの合宿企画をきっかけに、メンバーが綴った詩を井ノ原くんが纏めて曲を作ったという、V6が作り上げた曲です。歌詞のテーマは「メンバーへのメッセージ」であり、緩やかだけれども強い絆と、優しく暖かい空気を感じます。音はすごくシンプルな印象なのですが、こういうストレートな音でなければ歌詞の暖かさが伝わらないと思いました。メンバーの歌声も、いつも以上に優しい印象があります。とてもいい曲。

初回Bに収録されているのは「Wait for You」。LADY GAGAの楽曲にも関わっているRed One氏からの提供です。日本のグループには初の提供のよう。作詞はDef TechのMicroさんです。こちらはバリバリのEDMでありながら、静謐な中にも、ナチュラルで暖かい空気を含んだ曲です。どこか寂しい孤独な雰囲気がありつつ、それでも誰かが傍にいてくれるような温かみを内包しているイメージ。私は聴いていて、朝焼けの美しい静かな海辺が思い浮かびました。これもとてもいい曲。

そんな感じで初回盤収録のこの2曲がすごく良かったことで、逆に私はLoppiHMV限定盤の「HELLO」への期待値が急落しました。悪く言えばベスト盤のオマケ扱いである新曲の3曲が3曲ともがクオリティー高いなんてことあるわけないと思ったのです。しかもアイドルの曲だし。だから、ほぼほぼ付属グッズのラバーバンド目的で買いました。

しかし。

「HELLO」の破壊力は抜群だったのです。歌い出しの憂いを含んだ健くんの声、穏やかな剛くんの声・優しい岡田くんの声が続き、サビで6人の合唱となる。その流れの美しさよ。歌のメロディーは切ない憂いに満ちていて、でも、強さというか包み込まれるような優しさも感じるのです。本当にいい曲でした。

やっぱりV6はいい曲が多い。改めてその事実が嬉しいと思ったベスト盤でした。

 

第3位 Voyage(Sadie)

Voyageはヴィジュアル系バンドのSadieが活動休止前に出した最後のシングルです。私は3曲を収録した通常盤を購入。とてもカッコいい作品でした。

表題曲の「Voyage」は、憂いを含んだような穏やかなギターのフレーズと鍵盤の音で始まり、きれいだなあと思っていたら一気にバンドサウンドが全開! テンポがすごく速くて、一気に坂を駆け下りるような感覚が気持ちいいです。曲中もグッと抑えたおとなしいパートと、一気に迫力が増してスピードを増す部分とが交互にやって来て、目くるめく曲の世界に翻弄されました。

そして、そんな音に乗る歌のメロディーは心を締め付けるように切なくて美しいのです。真緒さんの歌声もいつも以上にドラマチックで切なげな印象がありました。でも、それも当然かもしれません。この曲の歌詞は”絆と出会い感情はそう夢を追った””掲げてる未来図の配役はこの5人”など、バンドや真緒さん自身の現在・過去・未来を見つめたものなのでしょうから。

でも、活動休止を強く意識した楽曲だと感じる分、私としてはまだ客観的にこの曲を聞けない部分があるかもです……。

あと、この曲中での”死ねなかった強さがある”という歌詞は、Sadieの曲(どちらかと言うと初期の曲)「サイレント イヴ」での”死ねないと分かっている 弱さに救われる”という歌詞と対になっているように見えます。月日の流れや心の変化、大人になることの意味みたいなものを感じますね。

「Call the pain」は重低音が効いた冒頭や、デスボイスが入る中盤など、非常にハードなイメージの曲です。でも、サビはハードさを残しつつ、どこか爽やかに飛翔していくような感覚があり、Sadieらしい濃厚さ・ドラマチックさを感じられる曲でした。

そして、最後は通常盤のみ収録の「End of the world」なのですが、これがまた私の大好きな感じの曲なのでした。活動休止を前になんという縁起でもないタイトルの曲なんだという感じかもしれませんが、やっぱり私はSadieの暗闇側の心を真っ黒で塗り潰すみたいな曲が好きなのです。

冒頭いきなりのシャウトや重低音なギター・ベース、そして、攻めのドラムが非常にカッコいいです。この曲はリズミカルな感じがありつつ、一部にゴシック・ロックな雰囲気のパートもあり、ヒップホップなミクスチャーロックのパートも含みつつ、キャッチーに音がキマる部分がカッコよく、ド派手なギターソロ&ドラムのフレーズに攻めたてられ、一方でベースの音をメインにした低く落ち着いたパートもある。これらが違和感なく繋ぎ合わされ、カッコいい暴れ曲に仕上がっているです。惚れるなと言う方が無理でしょう。カッコいいんだよ、畜生!(汚い言葉ごめん)

いつか戻ってくると言ってくれたSadieですが、期限のないお別れはファンにとっては辛いものです。こんなカッコいい曲達を作ったんだからさー、いつかちゃんと戻ってきてまたライブで聴かせてくださいね。待ってますよ!

www.youtube.com

 

第2位 小さな銀貨を左手に(amber gris)

2015年に解散したamber gris。穏やかだったり、激しかったり、切なかったりする楽曲群は、まるで絵本の素敵な物語を読んでいるような感覚があります。そんな彼らが解散前にベスト盤と共にリリースしたのがこのシングルでした。

amber grisではギターのwayneさんとkanameさんがメインコンポーザーとしていらっしゃり、ボーカルの手鞠さんも時々作曲していました。このシングルではその3人の曲が1曲ずつ収録されています。

まずは手鞠さんの曲「arch.」。穏やかな曲調のきれいで切ない曲です。サビの、どうにも切なく閉じていくような歌に心がギュッと締め付けられました。歌詞も、あなたがいない世界とあなたがいる世界との対比を「揺れないブランコ」「廻らぬ木馬」などの情景の描写と共に描かれていて、やるせない気持ちが溢れます。

2曲目はwayneさんによる「流星群の夜に」。疾走感のある歯切れの良いギターの音が印象的な曲です。そこに歌の切なさが合わさることで、夜の街をあてもなく走り回ってような、迷っているような、それでも進むしかないようなイメージが湧きました。やはり胸が締め付けられる曲でした。

最後はkanameさんによる「Absolute being」です。ナチュラルで穏やかなパートと、バンドの音で攻めていく手数の多い部分との対比が美しい曲でした。攻めるとは言っても、空に昇っていくような優しく暖かな雰囲気のある音。聴いている人を優しく包み込んでいくような美しい曲でした。

そんな素敵な3曲が収録された「小さな銀貨を左手に」。amber grisは解散の前に、切なくて優しいお話達を届けてくれました。これを聴いたら私は胸がいっぱいになって、何も言えなくなってしまいました。もっと色々と書きたいけど、うまく言葉にできないのです。amber grisの皆様、素敵なお話をありがとう。

www.youtube.com

(このシングルの動画がないので、ラストライブの動画を貼っておきます)

 

第1位 剥製(Plastic Tree

Plastic Treeというバンドの13thアルバムです。13枚目。すごいなあ。

私はこのアルバムを聴いて思い出したことがありました。10年以上前のこと、実家の近くに初めてTSUTAYAができ、当時の私は単なるアニメ・マンガオタクだったのですが、折角なのでちょっと興味のあったPlastic TreeというバンドのCDを借りてみようと思い立ったのです*4。それで、ベスト盤的なものを借りたのですが、最初の感想は「なんか気持ち悪い……」でした。「割れた窓」とか「絶望の丘」とかは聞き慣れない音楽で戸惑ったし、「サイコガーデン」とか「リセット」はちょっとグロイ表現があるし、「プラネタリウム」とかはきれいだけど内向的すぎる感じ。竜太朗さんの声もふわふわしすぎていて聞き難い声だなと感じました。でも、その後再びPlastic Treeの音楽に触れる機会があり、その時からはもうドップリとハマってしまうのですが……。

今回のアルバム「剥製」を聴いて、当時の「気持ち悪い」と感じた気持ちを思い出しました。このアルバムもどこか気持ち悪い感じがあるのに、心地よい印象もある不思議なアルバムだったからです。

Plastic Treeの曲は異様に生々しい雰囲気があるように感じます。生物が息づいている感じの生臭さ。なのに、それは絵画の中のもののように、夢の中のにいるように、どこか現実感がないのです。それが両立しているところに気持ち悪さを感じるような気がする。でも、その気持ち悪さは中毒性を持っていて、ある点を突破すると非常に心地よくもあるわけです。

気持ち悪いが心地よいだなんて文章が矛盾していますね……。でも、その矛盾こそがプラであるような気もします。轟音と静寂と繊細さが同居しているPlastic Treeの音楽自体が矛盾じゃないですか? この矛盾が心地よく感じられるのは何故だろう。

そして、このアルバムでの生々しさと虚実性との両立を見ると、「剥製」というタイトルは秀逸だなあと思いました。「剥製」という言葉こそPlastic Treeの音楽を体現した言葉であるように感じます。

1曲目のSE後の2曲目(つまり、アルバムのトップバッター)はギター・アキラさんの「フラスコ」という曲なのですが、ちょっと気持ち悪い感じのするギターのフレーズがプラっぽくて「むふふふ」と心の中でほくそ笑んでしまいました。もちろん、気持ち悪くも心地よい曲です。アキラさんはフォークボール的な挑戦的な楽曲を作る印象が強いですが、「フラスコ」はプラっぽさの真っ直ぐど真ん中に投げ込んできた感があります。でも、その後の「スラッシングパンプキン・デスマーチ」はこれもアリなのかよという、かなり攻めた音楽になっていて、非常に楽しいです。

ドラム・ケンケンさん作詞作曲の「告白」も、天真爛漫なキャラを思うと意外なほど繊細で素敵です。(いや、天真爛漫だからこそ素直に繊細な気持ちが表現されるのかも)

そして、ベースの正さんの「ハシエンダ」「インソムニアブルース」。独特の揺らめくようなリズムや、視界が滲んでいくような世界観が美しくてハマってしまいます。

最後に竜太朗さん作詞作曲の「剥製」。優しさが滲み出しつつも、暗く籠っているような曲でした。楽器隊の音が穏やかなこともあり、竜太朗さんのふわふわとした声が際立って聞こえてきます。生々しくも、やはり現実感のない声。その感覚は剥製を見た時のものに近いのでは。そして、その違和感が不思議と心地よいのです。

聴きやすい音楽かと訊かれれば、そうではないと答えざるを得ない気がします。でも、この不思議な感覚はPlastic Treeでしか味わえません。それに心地よさを感じるようになったら、きっともうそこから抜けられないのです。

www.youtube.com

 

 

 

そんな感じで、昨年の音源トップ10を書いていました。素敵な音源ばかりなので、なんか、だんだん順位を付けるのが苦しくなりましたが……。あくまで私的な意見なのでご参考までに。

今年も素敵な音楽をたくさん聴けたら嬉しいなあ。

*1:どうでもいいけど、元●●の意味で「ex-●●」を使うのはバンギャルだけなのかな? バンギャル用語?? そういえば、ジャニーズ用語(?)でいうと、初めの頃は「オーラス」の意味がわからなかったんですよね。ヴィジュアル系界隈ではツアーファイナルという言い方が一般的な気がする。

*2:あと車掌さんな格好をしたちびっ子ジュニアが可愛いかった。翼くんがステージの上で振り返りながらちびっ子達を気に掛けてるのも可愛いかった。

*3:翼くんの歌い方がだいぶ清春さんぽいように感じるが、清春さん歌唱バージョンの仮歌があったりするのだろうか。あるならそれもめっちゃ聴きたい……。

*4:Plastic Treeがアニメのエンディング曲を担当していて興味を持った